ARENA37℃ 7月号

★高見沢俊彦 ロックばん対談!
 
 
ARENA37℃ 7月号に、川嶋あいちゃんの記事が掲載されています。
 内容は、あいちゃんと、アルフィーの高見沢さんとの対談記事で、カラー4ページに渡って掲載されています。
 かなり、内容もりだくさんです。

 お侍たせいたしました〜っ! 高見沢王子の連載対談「たいばん』8回目にして、ついに女性ゲストが登場です。
 しかも、初のピチピチ10代ときたっ!
 今回のゲスト、川嶋あいちゃんは、今、女性インディーズアーティストの中で、最も注目されているシンガーソングライターなのだ。
 渋谷で路上ライブ1000回を目標に活動を始め、昨年は女子高生初の渋谷公会堂ワンマンライブも達成。
 6月2日に発売になった新曲「525ページ」は、先行発売の限定版がなんと525円。
 5月25曰には都内数カ所で525人限定ライブを行うなど、元気いっぱいで頑張っている。

 方や、デビュー30周年の高見沢王子。
 春のツアー『Travelin,Band」も絶好調で、4月で50歳(!)を迎えたとは思えないパワー。
 シーンは違っても、音楽に向かう情熱は年齢なんて超越してしまうんだなあと、この恐るべきツーショットを見て思った。
 それにしても、王子のこってりとした衣装に比べて、白いTシャツにジーンズ、メイクもシンプルなあいちゃんの初々しいこと。
 「なんか、キミと会ってすご〜くホッとしたよ(笑)。やっぱり、ティーンエイジャーはこういうスタイルが本当だと思うなあ(笑)」
 まるで先生のような口調で、しみじみと語る王子であった。


 
<演歌で音楽に開眼、初舞台は「雨酒場」だった>

 (高見沢) 今度の曲、「525ページ」だっけ? タイトル見て何だろう?って思って曲を聞いたんだけどさ……
        歌詞が英和辞典の525ページの"LOVE"という単語に印をつけたという内容なので)なるほどなあって。
       あの英和辞典は何て言う英和辞典なのかな?

 (川嶋) ああ、あれは想像の世界で書いたんですけど……(笑)

 (高見沢) あっ、想像なんだ。だいたい525ページあたりかなあと? 

 (川嶋) いえ、曲からできたんですけど、曲を聞いていたらなんとなく525ページっていう言葉が自然に……。
      でも、ファンの人が調べてくれて、本当に525ページにある辞書があったみたいです。


 (高見沢) それはスゴイじゃない! 当たったっていうことでしよ? ビンゴ!だよ(笑)

 (川嶋) そうですね、偶然にも(笑)。三省堂の「エクシード英和辞典」っていう辞書らしいです。

 (高見沢) そうかあ。僕が持ってる辞書では、525ページじゃなかったよ(笑)。調べたんだけどね(笑)

 (川嶋) あっ、ありがとうございます!

 (高見沢) そもそもさ、川嶋さんが自分で音楽をやろうって思ったきっかけは何だったの?

 
(川嶋) きっかけは3才のときだったんですけど…
      その頃、すごく泣き虫で、人見知りの激しい女の子だったんですよ。
      で、お母さんがそれをすごく気にして、歌で改善することができないかと思ったらしくて、音楽教室に通い始めて・・・

  (高見沢) ピアノとかオルガンとか?

 (川嶋) いや、最初は童謡を歌ってました。

 (高見沢) あ、歌なんだ! そういう教室があるわけね。

 (川嶋) そうですね。最初は泣いてレッスンにならなかったらしくて。
      でも、先生が元保母さんだったんで、子供の扱いが上手だったみたいで、徐々に歌うことが楽しくなってきて、
      4才のときには、もう初舞台に立ってました。

 (高見沢) 童謡の発表会?

 (川嶋) いえ、演歌でした。小6まで、演歌だったんですよ、バリバリの(笑)

 (高見沢) (ものすごくびっくりして)エェェッ! 演歌だったの〜ッ!(笑)

 (川嶋) はい(笑)

 (高見沢) ど、ど、どういう歌を歌うの、小学生の演歌って?

 (川嶋) えっと、4才の初ステージでは、香西かおりさんの「雨酒場」っていう歌があるんですけど、それを・・・

 (高見沢) 「雨酒場」!・・・僕もいろいろ音楽の業界長いんだけど、ごめん、知らないや、その歌(笑)・・・
       あ、そう・・・「雨酒場」を4才で・・・」

 (川嶋) はい! 歌いましたね(笑)。あと、「瞼の母」とか。

 (高見沢) あ? それは知ってる(笑)。
       あと、「岸壁の母」も知ってるよ。石川さゆりとかも?・・・
       上野発の夜行列車降りたときから〜〜っ(と歌い始めた!)

 (川嶋) はいっ、そんなの歌ってましたね。

 (高見沢) すごいなあ! コブシもコロコロと?(笑)あのさ、演歌は自分でいいなあと思ったの? 歌わされたわけ?

 (川嶋) その教室が演歌教室みたいなところで。年配の方が多くて、演歌ばっかりだったんですよ。

 (高見沢) なるほどね。でもいいことかもしれないね、子供の頃から演歌っていうのも。
       でも、そのまま行ったら、演歌の川嶋あいになっちゃうよね。
       どう考えても、「525ページ」は演歌じゃないし(笑)。そのスイッチが変わった瞬間は何だったの?

 (川嶋) そうですよね(笑)。いちばんのきっかけは先生が変わったんです、ポップスの先生に。

 (高見沢) アハハハハ! わかりやすいなあ!(笑)

 (川嶋) そうなんです。演歌の先生がお母さんで、娘さんがポップスだったんで。

 (高見沢) 先生が娘の代になったわけだ。いやあ、わかりやすい人ですね(笑)


 
<家では音楽を全く聞かない王子の意外な真実が発覚>

 (高見沢) 86年生まれだよね。あのさ、アルフィーって知ってた?(笑)

 (川嶋) 知ってますよ!(笑)「希望の橋」ですよね?

 (高見沢) ああ、ちょっとホッとした(笑)。で、ポップスと演歌って、どっちがいいと思った?

 (川嶋) う〜んと〜・・・いや、どっちも変わらないと思いましたね。どっちも好きでした。
      でも、決定的にポップスがいいなと思ったのは、中学2年のときに、尾崎豊さんのドキュメンタリー番組があって、
      そこで「I Love You」を聞いて、すごくいい曲だなあって思って。
      それですぐに尾崎豊さんのアルバムを買って、すごくいいなあと。


 (高見沢) 琴線に触れたというか、心に響いたのが、尾崎豊のアルバムだったと?

 (川嶋) そうですね。初めて感動しました。それで、こういう歌を、自分も作って歌いたいなあと思って。

 (高見沢) なるほどねえ。やっぱり「雨酒場」だけでは、曲を作ろうと思う動機が起きにくいからね(笑)。
       尾崎豊は自分と共感するものがあったんだろうね。叫びというか・・・

 (川嶋) そうですね。なんであんなに10代の人達の気持ちをつかんだのかなって。

 (高見沢) メッセージソングだからね。「ILove You」も、Loveという名のメッセージソングだと思うしね。
       他に最近気に入ってる女性アーティストとかっていない?

 (川嶋) ええと、洋楽なんですけど、ホイットニー・ヒューストンとか、鳥肌が立ちましたね。
      「I Will Always Love You」を聞いて、いいなあと。
      「I Will〜」っていう言葉を何回も繰り返しているじゃないですか。
      いつもあなたを愛すでしょうっていう気持ちを、すごく強く感じて。それをみごとに歌で伝えてて・・・

 (高見沢) そうだね。歌って不思議だよね。
       その歌詞だって、言葉だけだったらなんともないけど、メロディが付くと、そこに命が宿るんだよね・・・
       あ、ちょっと今、演歌チックなこと言っちゃったな、オレ(笑)。歌って、どっちからできる?、詞から、曲から?

 (川嶋) たいてい曲からですね。

 (高見沢) そうだよね。シンガーソング・ライターの時代になって、曲のイメージに言葉をはめてく方が主流になっちゃったみたいだね。

 (川嶋) 高見沢さんもそうですか?

 (高見沢) もちろんそう。詞ってなかなかできないんだよね。曲は意外と簡単にできるんだけど、言葉はねぇ。

 (川嶋) アルフィーは、シングルはどのくらい出してるんですか?

 (高見沢) どのぐらいだろう?50枚くらい出してるのかなあ?

 (川嶋) スゴイッ! 曲はギターで作ってるんですか?

 (高見沢) ギターとかピアノかな。作る楽器によって、メロディラインが変わるからね。
       バラードなんかはピアノで作った方がいいかもしれないけど、あとはだいたいギターかな。
       僕は川嶋さんと違って、演歌じゃない世界を目指してたからさ、子供の頃から。

 (川嶋) ああ、ロックな感じの?

 (高見沢) そうそう、ロックが大好きで。男の子って、激しいものが好きで、ちょっと不良に憧れるっていうか。
       なれないんだけど、憧れる。実際に校舎の窓ガラスは割れないんだけど、その気持ちはわかるっていうか。
       だから、尾崎豊の世界は僕もわかるわけ。そういう中で、自分を投影するには、当時は詞よりも音の激しいもの・・・
       それでハードロックに走っちゃったんだけどね。でも、加入したアルフィーはフォークバンドだったんだよね。
       最初は。それで、バンドもいろいろ変わってきてさ。

 (川嶋) 3人は仲はよろしいんですか?

 (高見沢) どうなんだろう? 高校からの友達なんで、ず〜っと一緒だから、なるべく顔は合わせたくないというか・・・(笑)

 (川嶋) そうなんですか?高校からバンドを組んで?

 (高見沢) そうそう。桜井と同じ高校だったんだけど、僕はロックやってて、彼らはフォークやってて、対立してたんだけどね(笑)
       だからホント、音楽よりも人間性で続いてきた感じかな。
       でも、曲作りの話に戻るけど、僕は家にはギターを持って帰らないからね。

 (川嶋) えっ? どうしてですか?

 (高見沢) いつもスタジオで聞いてるから、音楽もほとんど家では聞かない。そういうのと離れたいんだよね。
       ギターは、コンサートでもスタジオでも弾いてるからね。

 (川嶋) へえ〜!


 
<体力がいるけど、路上は私の原点だから・・・>

 (高見沢) 本とかよく読む?

 (川嶋) 結構読みますね。芥川龍之介とかが好きで。

 (高見沢) 芥川龍之介〜っ? キミは若いのにシブいねえ!(いきなり先生口調)

 (川嶋) あと、太宰治とか・・・

 (高見沢) 太宰治− スゴイなあ。そういう昔の文豪を読むわけだ。

 (川嶋) はい。国語の教科書に載ってたんで。「羅生門」とか。

 (高見沢) でも、芥川龍之介って名前がいいよね。

 (川嶋) そうですね、名前がカッコイイ。

 (高見沢) "太宰治"とかさ。これが"田中治"だったらなんともないよね。
       田中治の書いた「人間失格」なんて、そりゃあ、名前が失格だろう、お前!って感じだしさ(笑)。
       "太宰"だから、なんかスゴイ「失格」なんだろうなあって思うわけでさ(笑)。芥川龍之介だって、鈴木龍之介とかだとね。

 (川嶋) ちょっと違いますよね(笑)

 (高見沢) やっぱり名は体を表すというかね。"川嶋あい"って本名?

 (川嶋) 本名です。ただ、本当は「川島愛」なんですけど。路上に出るとき、看板を作るじゃないですか?
      そのとき、本名のままじゃやだなと思って。


 (高見沢) 「エッ?でもあんまり変わらないじゃない(笑)。ストリートは、東京に来て始めたの?

 (川嶋) そうです。それまでは知らなかったんですよ、路上ライブっていうのがあるの。
      渋谷で初めてストリート・ミュージシャン見て知ったんです。


 (高見沢) 路上でやるときは、バックとか付かないの?

 (川嶋) いないですね。弾き語りでやってます、キーボードで。器材がすごく重くて大変なんですよ。いつも台車2台で運んでるんです。

 (高見沢) キーボードなんだ! 僕は勝手にギターかと思ってたよ。キーボードだと発電機いるよな。

 (川嶋) そうなんですよ。かなり重いっスね(笑)。マイクもスピーカーもミキサーもいるし。

 (高見沢) 結構大がかりだね、ストリートと言えども。目標の路上ライブ1000回まで あと何回ぐらいなんだっけ?

 (川嶋) 今850回くらいなんで、あと150回ですね。路上から始めたんで、それがやっぱり原点なんですよ。
      もう一つやってるユニットの「l WiSH」も、路上から生まれたものだし。
      で、私、今学生のみんなからサポートしてもらってるんですよ。事務所のスタッフがみんな学生なんです。
      その人達とも、路上で出会ったんです。手伝いたいって言ってくれて。


 (高見沢) そうなんだ。いいねえ、夢があるね。手作り感覚。それがいちばん音楽の原点でもあるしね。

 (川嶋) でも、今回高見沢さんの対談の話を聞いて、びっくりしました。何で私なんだろう?って(笑)

 (高見沢) なんで高見沢はいい年こいて、あんなに髪が長いんだ!とか?(笑)

 (川嶋) いえいえ、高見沢さんっていうと、すごく華やかなイメージありますね、テレビで拝見してても。
      そんな大御所さんと会えると思っていなかったんで(笑)

 (高見沢) 大御所じゃないよ。中御所かな。小御所は卒業したけど(笑)

 (川嶋) でも、会ってみて、イメージどおりでした。華やかで大人っていうか、ホン卜にアーティストだな、創作者だなと思いました。

 (高見沢) ありがとう! うれしいですね。すごくいい人だね、川嶋さんは(笑)


 
<いつでもフラットな気持ちがあれば曲はいつまでも作れる>

 (高見沢) 行ってみたい国ってある?

 (川嶋) オーストラリア!

 (高見沢) オーストラリア? キミは面白いね答えが!(またまた先生口調)わかった! カンガルーに会いたいんだろ?

 (川嶋) いえ、コアラです! コアラを抱いてみたいんです!

 (高見沢) コアラか。いいよね。でも、すっごい臭いらしいぞ、コアラって(笑)

 (川嶋) あ。 臭いんですか? でも、自然もすごくきれいだし、行ってみたいなあって。自然が大好きなんですよ。
      星も大好きです。プラネタリウムとか、1人で行ってますから。
      でも、今、プラネタリウムがどんどん閉鎖されてて。渋谷も池袋も無くなっちゃって。


 (高見沢) えっ!渋谷の東急文化会館の7階はもうなくなっちゃったの?
       あそこは、高校時代のデートコースだったんだよなあ(笑)

 (川嶋) そうなんですよ。寂しいです。

 (高見沢) でも、自然が好きだっていうのはいいよね。曲を作る上でも。

 (川嶋) 高見沢さんは、どんなところでメロディが浮かぶんですか?

 (高見沢) う〜ん、スタイルによって違うんだけど、僕はアレンジから入っちゃうんだよね。
       例えばイントロを作ったり、このメロディを生かすには、どういう間奏にしようとかね。
       曲っていう発想じゃないんだ。曲もたくさん作っていくと、その発想を変えていかないとね。

 (川嶋) う〜ん、そうですね・・・

 (高見沢) 僕もそうだったけど、必ず壁にぶち当たるから。それを抜けきるには、いろんなことを経験した方がいいよ。
       自然や星を見ることも必要だし、本を読むことも必要だし、映画を観るのもいいし、あるいは、
       同世代の友達と会話することも大切だし。アタマが硬い奴っていうのが、いちばんダメだね。
       自分の幅が、どんどん狭くなっていっちゃう。

 (川嶋) はい、それはわかりますね。

 (高見沢) あと、自分の歌唱力に酔ってもだめだよね。自分の声を生かすことを考えないと・・・
       だから僕は、アレンジメントから曲を組み立てていって、最後にメロディをはめ込むわけ。
       家でいうと、設計図がまずあって、それから内装を考える感じかな。

 (川嶋) やっぱり煮詰まるもんですか?

 (高見沢) 煮詰まるよ。川嶋さんはまだ歌いたいことがいっぱいあるだろうけど。

 (川嶋) そうですね。まだまだいっぱいあります。

 (高見沢) だって、まだ18でしよ? これからだよ!18の頃、僕はまだ曲なんか作ったことなかったからさ。
       曲作りを始めたのは、デビューした後だから。
       僕らは外国のバンドのコピーばっかりやってて、それで認められてデビューしたから。
       最初は作曲家の先生が作った曲を歌わされてたのね。
       それを2年ぐらいやってたんだけど、やっぱりオリジナルがないっていうのは、自分の意見がないのと一緒だってことに
       気がついてさ。デビューして2年後に作り始めたのかな、21ぐらいだよ。

 (川嶋) すんなりできました?

 (高見沢) いや、どういうのがいいのかわからなかった。
       ただ洋楽で音楽の知識はあったから、コードの仕組みだとかはわかってたしね。問題は詞だよ。
       どういうことを歌っていいのかわからなかった。
       だから、最初に作った詞が「君の部屋」っていうの。彼女の部屋を全部説明してるだけなんだ(笑)。つまんないよなあ!(笑)
       駅から歩いて5分、グリーンのカーペットが敷いてあって、ピアノがあって・・・みたいな(笑)。さすがに後で詞は変えたけどね。
       まあ、詞に関しては、思いついたときに、言葉のフレーズの切れ端は書いといた方がいいよ。

 (川嶋) そうですね。私は携帯の保存メールに入れてます。

 (高見沢) やっぱり詞は大切だね。若い頃は、詞なんかどうでもいいと思っていたわけ。
       だいたい説教くさい歌が嫌いでさ。
       まあ、僕は本が大好きで、いろんな本を読んできたんだけと、自分の作品にしたときに、ちょっと照れくさい部分が
       あったのかもしれないね。今はもう、ビンビンに説教くさい歌を作ってるけどね。希望の橋を渡れ!ってさ(笑)。
       まあ、感性はいつまでも研ぎ済まされてないとね。
       いつまで子供のときの演歌を歌った気持ちとか、星を見てきれいだと思う気持ちを素直に出せることが大切だよ。
       そういうフラットな気持ちがあれば、曲はできると思うよ。

 (川嶋) はい、わかりました。頑張ります。

 (高見沢) 路上は週末にやってるの?

 (川嶋) そういうことは決まってなくて、あっ、明日やろう!って感じで。

 (高見沢) いいな、自由で。そのうち、明日やろう−ではできなくなるから、今のうちにやっといた方がいいよ。
       もちろん、次のステップにはまた違った面白さがあるけど、今は、その感じを思いっきり楽しんでください!

 (川嶋) はいっ!



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